木造 聖観音菩薩立像

聖観音菩薩立像

 

重要文化財

鎌倉~南北朝時代・14世紀

像高134.5cm

木造、彩色・金泥塗・切金・土紋、玉眼

 

この像はかつて鎌倉の西御門(にしみかど、鶴岡八幡宮の東)にあった鎌倉尼五山第一位太平寺の本尊だった。太平寺は室町時代に廃絶、この像は大永6年(1526)鎌倉に攻め入った里見氏によって安房国に持ち去られた。その後東慶寺の要山尼が取り返し、以来この寺に安置されている。なお、この像を安置していた仏殿(15世紀初頭の建立、国宝)が円覚寺に舎利殿として現存する。  この像で注目されるのは、衣にほどこされた盛り上げ文様である。これは土を落雁のように型抜きして貼り付けたもので、土紋(どもん)と呼ぶ。鎌倉では扇ヵ谷の浄光明寺阿弥陀三尊像の中尊、西御門来迎寺の如意輪観音坐像をはじめほかにも数例見られるが、他地域にはない。中国で生まれた技法だが、日本の中で鎌倉だけが受容したのである。 観音像が着ける袈裟一面に土紋があるわけではない。袈裟はほんらい端切れを寄せ集めて作ったものなので田圃とあぜ道のような部分がある。そのあぜ道に土紋がほどこされている。田圃の部分には金箔を細く切って文様を作る切金(きりかね)という技法で装飾されている。光背と台座は後世補われたもの。