香薬師如来像

香薬師如来像

 

像高73.0cm

銅造

 

奈良新薬師寺に伝わった銅造香薬師如来像は白鳳時代を代表する傑作のひとつであるが、昭和18年盗難にあい今だに発見されていない。時の住持の悲嘆を見かねて、東大寺の上司海雲師が文芸春秋社長佐佐木茂索氏に話し、氏もこれに同情し、幸いに寺にこの立像の石膏模型のあるのを利用し昭和25年に3体の模造を鋳造、一体を新薬師寺に寄贈し、一体を国立博物館に、もう一体を佐佐木家に所蔵したが、佐佐木茂索27回忌に東慶寺に寄贈された。 本像は模造とはいえ大変精巧な作でよく当初の面影を伝え、微笑をたたえた童顔の面相、薄い衣を透かして体躯の抑揚がたくみに表現されているのも白鳳後期(7世紀末)の特色で、左手には小さな薬壺をとり前につき出した右手も人々をさしまねくようなしぐさ。 この像もまた深い感銘を与えるであろう。

(久野健博士解説より)